我が国では人口減社会を伴った少子高齢化と呼ばれて久しくなった現在、日本社会の高齢化問題についての議論は広く行われており2040年には団塊ジュニア世代も65歳以上の高齢者となる一方で現役世代が減少し、1人の高齢者を1.5人の現役世代で支えることになると推測されています。
急速な少子高齢化が進行している中、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を図る上で、歯と口腔の健康が全身の健康につながるという科学的エビデンスの発信が重要視されています。
いわゆる「歯と口腔の健康」において、乳幼児期から健全な食生活の基礎となる口腔機能の獲得を図り「生涯にわたる歯科口腔保健の重要性」が深く認識されるためには、各ライフステージに合った歯科保健施策を講じていくことが非常に大切になります。
健康寿命の延伸のために健康長寿を目指していく上で、歯と口腔の健康が全身の健康に関係するという多くの科学的エビデンスに基づいた施策提供を受けるためには、個人の努力のみに頼らず、社会的な健康行動ができる環境づくりが必要となります。
歯と口腔の健康づくりに関して近年の現状をみると、小児期においては発音・咀嚼などの口腔機能の未発達やそれに附帯した口腔疾病の増加、食育の重要性などが指摘されており、その指導や対策について今後一層の充実が求められています。
そのためには妊娠期からのむし歯や歯周病への予防教育や、全世代にわたる高いむし歯予防効果のあるフッ化物洗口などによるフッ化物応用の普及・啓発、学齢期からの歯周病予防対策、オーラルフレイルを見据えた成人期(働き盛り世代)からのフレイル予防の推進などの課題解決に取り組むことが重要です。
多くの市民の皆様が生涯にわたって健康維持を成すためには、健康長寿を目指すひとつとして「歯と口腔の健康」に着目されれば「歯と口腔からの全身的な健康づくり」を獲得する事が重要だと認識されますので、我々専門職として水戸市歯科医師会では2014(平成26)年度に策定した「水戸市歯科保健計画」に基づいて、水戸市と協働する各歯科保健事業のさらなる発展向上に寄与するために、生涯にわたる歯と口腔の健康が全身的健康につながる歯科口腔保健の重要性を説くべく、このたび2024(令和6)年度より名称を一部改め「水戸市歯科口腔保健推進計画(第3次)」を策定して、将来に向けた「歯科疾患の予防」と「口腔健康管理の充実=口腔機能の獲得および維持・向上」を目指す事により、市民の皆様とともに健康寿命の延伸を図ってまいります。